ガンプラの塗装と言えばエアブラシを使うのが主流です。
ですが、最近では筆塗りでも超絶にカッコいい作品も増えてきました。
その中で、私がとりわけ衝撃を受けたのが、清水圭さんの筆塗り作品です。
清水さんの筆塗りは、エアブラシでは決して出せない重厚な仕上がりになっています。とにかくかっこいい。
で、清水さんは筆塗りの本も出してますし、色々なところで自分の筆塗りのやり方をレクチャーしているんですね。
なら、私も清水式の筆塗りを真似て、カッコいいプラモを作りたい!
そういうわけで、今回は「清水式の筆塗り」に挑戦してみた話になります。
清水圭さんは筆塗りでどんな作品を作っているの?
まず、清水圭さんの作品なのですが、X(旧Twitter)で公開しているのを見ますと、このような感じの作品となっています。
見てください、これ。エアブラシでの塗装では決して出せない雰囲気が全身から放たれています。一目見た時、衝撃を受けました。
これがすべて筆塗り。
しかも、使っている塗料は基本的に、水性ホビーカラーなんですね。
私も子供のころは水性ホビーカラーを筆で塗っていましたが、正直、いい思い出がありません。
隠ぺい力は強くないし、いつまでたっても乾かないし、綺麗に塗れないし、と、散々な思いをしてきました。
たしかに、水性ホビーカラー自体は2019年にリニューアルして、非常に使いやすい塗料になっています。全く別物、と言ってもいいくらい性能が格段に上がっています。
筆塗り自体には挑戦してみたことがありますが、だからと言って、こんなふうに仕上げることなんて思っていませんでした。
と、いうことで「清水式の筆塗り」に少しでも近づけるべく・・・!
やっていってみようと思います。
清水式筆塗りのやり方
清水式の筆塗りは、以下のようなやりかたが主流です。
① サーフェイサーを吹いて全身を同じ色にする
② 塗料を薄めに重ねて、何度も塗り重ねる
③ 下に塗った色よりも一段落明るい色でハイライトを入れる
④ ウォッシングやチッピングで汚しを入れる
最初にサーフェイサーを吹いているのは、プラを同じ色にして、下の色によって発色の差を出さないためだそうですね。
下の色が白と黒の上に赤を塗ると、白いところは綺麗な赤になりますし、黒いところは重い赤になります。
その差を無くして自分でコントロールするためにサーフェイサーを吹きます。
あと、下地のグレーを透かせることによって、重厚感を演出する狙いもあるとか。

清水さんがよく使っているのが「メカサフ・ヘヴィ」という色です。
現在、これはエアブラシを使わなければ吹くことができないのが残念ですが・・・。(スプレータイプも発売されるとの話はあります)
もしエアブラシを持っていなければ普通の缶サフでも良いかと。
清水さんも必ずメカサフのヘヴィを使用しているわけでなく、普通のグレーのサーフェイサーを使ったりもしています。
下地を透かせて重厚感を出す、ということを意識しなければ、サーフェイサーを吹かずにそのまま塗ったりもしているようです。
どういった仕上がりにしたいのかが見えているからこそ、いろいろと選択ができるんだと思います。
清水式筆塗り実践 用意したキット

ここからは実際に塗ってみようかと思います
用意したキットはHGのガンタンクです。
HGのガンタンクは値段も安く(1000円ちょっとで買えます)組みやすい。
広い面も多いので清水式の筆塗りを試すにはちょうどいいのではないかと思いました。
ただ、古めのキットではあるので、合わせ目はそれなりに出ます。
練習なんだから、合わせ目なんて気にしなくていいやーっていうのもアリですが、私はある程度、処理しておきました。
清水式筆塗り実践 下地作り

まずは下地です。最初に「メカサフ・ヘヴィ」を塗装して全体を濃い目のグレーにします。
繰り返しますが、グレーで全身を塗るのは、塗ったときに色のばらつきを抑えるためと、下地を透けさせて重厚感を出すため、だそうです。
ちなみにこれ、塗り直した状態でして、最初は普通のサーフェイサーを使っていました。
失敗して、メカサフのヘヴィで塗り直したんですよね。
筆塗り一層目

まずは一層目です。一層目に使う主な色はこちら。

塗料はすこし薄めて、筆先に少量だけ付けて色を重ねていきます。

塗料を薄める際は、水ではなく専用の溶剤を使っています。
水でも薄めることは出来ますが、清水さんも専用の薄め液を推奨していました。
ただ、新しい塗料の場合だと塗料が劣化していないので、そのまま塗ってもいい、とは言っていました。

色はちょっとずつ乗せていきます。
この時点では、下地が見えようがムラになろうが、全く問題ありません。
むしろ、下地も筆ムラ出すぐらいの勢いですね。
ただ、乱暴に塗るのではなく、筆先だけを使って、丁寧に筆を動かしている感じでした。

また、実際に塗るときは筆目を意識します。
こんなふうに上から下へ。重力を感じるイメージで塗っていく感じですね。

三回くらい重ねると、こんな感じで発色してくれました。
この時点でも、下地のグレーは多少残すくらいの気持ちでいて問題ありません。
と、言うか、塗りつぶしてしまうと下地を作った意味がなくなるので、意図して残すように塗っていくようです。
で、塗料を重ねて塗るコツとしては、きちんと乾いてから重ねることです。
塗料が乾いていないと、下地をなめて(溶かして)極端に塗膜が薄いところが出て来てしまいます。
そうした場合も「あ、やばい!」と思って、すぐにリカバリーはしないで、きちんと塗り切って、塗料が乾いてから塗り直すといいです。
焦ってすぐに塗り重ねると被害が広がります。
焦らずに、きちんと色を乗せていきましょう。
筆塗り二色目

一層目の塗装を終えたら次は二層目です。
使用する塗料はこちら。一層目に塗った塗料よりも明るい色を選択します。

二層目はハイライトをいれる、という感じで、一段明るい色を面の中心に塗っていきます。
この時に使う塗料はほとんど薄めない、ということです。
私は少量の塗料を中心に乗せて、それを塗り広げる感じでやっていきました。

二層目が終わるとこんな感じになっています。
どうなるか不安でしたが、なかなか良いのでは!?

あと忘れていましたが、グレーの部分はニュートラルグレーを一層目。
二層目は明灰白色(1)を使っています。

輪転と履帯にはジャーマングレーで塗装しています。
そして、この二か所だけはグラデーションとか意識せずに塗りつぶしています。
履帯には別のウェザリングを使用としているのが理由ですね。
デカール貼り&チッピング

二層目をぬり終わったら次はデカールを貼ります。
デカールを貼るタイミングは二層目の後、らしいですね。
今回はお試しとして一枚だけ貼ってみました。

次は「チッピング」という剥がれ塗装を施していきます。
チッピングはエナメル塗料のダークグレイを使っていました。

エナメル塗料をスポンジに染み込ませ、ほとんど乾いた状態のものをエッジを中心に、ぽんぽんと押し付けていきます。

青い部分はわかりづらいですが、作業後はこんな感じになります。
スポンジチッピングのくわしいやり方は別の記事でも紹介しています。
簡単ですが、とてもいい雰囲気になるのでおススメです。
トップコート

清水式では、チッピングが終わった段階でトップコートをします。
使用するのは「つや消しのプレミアムトップコート」です。
全体のツヤを整える、という効果もありますが、上から一枚コートして、塗装を保護してあげる目的があります。
筆で塗装していると、妙にツヤが出る場所があったりしますが、それもこのトップコートを吹くと綺麗なつや消しになります。
ウォッシング

そして最後はウォッシングです。
使用するのはスミ入れ塗料のブラウン。
これで一気に質感が整います。

こちらはスミ入れ用塗料なので色は薄めになっているのですが、清水さんはわざと塗料を発揮させて濃くして使っています。
まあ、わざと発揮させるまでやらなくても、底にたまった濃い塗料を使えば写真のようにはなります。

で、これが乾いたらエナメルの溶剤でふき取っていくわけですが、こちらも重力を意識して上から下に綿棒を動かしていきます。

綿棒でブラウンを拭き終わるとこんな感じになります。
なぜかしら一気に使い付された感がでますよね! 一気にまとまりが出たと思います。

特に気にっているのがバックパックです。
ブラウンでウォッシングしただけですが、良い感じに汚れてくれてますよねー。

そして組み立てたらいよいよ完成です。
実際、このガンタンクには履帯を汚したりしていますが、清水式の筆塗りだとここで完結です。
初めてにしてはなかなかいい仕上がりになったと思います。
筆塗りを失敗してしまったら?

もし塗装をして失敗してしまっても安心ください。
水性ホビーカラーの場合だと割と簡単にリカバリーができます。
これは私の失敗例です。一層目なんですが、ちょっと塗料が濃すぎたのか、なんかイメージ通りになっておりません。

もし最初からやり直したいな、と思ったら、台所用の洗剤を使えば水性ホビーカラーは簡単に落とすことができます。

有名な話ですが、水性塗料は台所用洗剤(界面活性剤が入ってアルカリ性の洗剤)で簡単に落とすことができるんですね。
清水さんも、失敗してしまったら、台所用洗剤に付けてしまえばいい、と言ってました。
これはチャック付きの袋にパーツを入れて洗剤に付けて置いているところです。

しばらく放置すると、塗料は見事に落ちました。
その後、水洗いをして乾かせば再び筆塗りを始めることができます。
ただ注意点として、まったくプラに影響がない、とは言えないかもという点があります。
なんか、ラッカー塗料すら落としてしまう勢いだったんですよ。さすがにパーツをずっとつけたまま、とかいうのは辞めた方がいいかもしれませんね。
あと、実はこのキットを筆塗りで作るにあたって、けっこういろいろとやらかしています。
失敗談はガンタンクの製作記の方で書こうと思うので、よろしければ記事が上がったらご覧ください。
調色はしない?
清水式の筆塗りでは、調色をせずに市販の塗料をそのまま使っています。
これは教えやすさ、再現のしやすさ、というのが理由のようで、別に調色して色を作ってはダメ、ということではないようです。
清水さんも昔は調色していた、と言っていました。
二層目に塗る明るい色、が無い場合、自分で色を作ってもいいかと思います。
まとめ

今回は、ガンプラを使って清水式の筆塗りを実際にやってみた記事となります。
濃いグレーを下地に水性塗料を重ねていき、重厚感を出してウェザリングで仕上げる、という流れになります。
筆塗りだとどうしても筆目やムラがでますが、むしろそれが完成品に一役買っている仕上がりとなります。
初めて挑戦したので苦労した部分もありますが、水性塗料だとリカバリーも簡単ですし、やってみたいと思えば挑戦しやすいと思います。
そしてなにより、筆塗り、めっちゃ楽しかったです!
色を重ねるたびにガンプラがどんどん変化していって、次の工程にどうなっていくのが楽しみで、久しぶりに時間を忘れて楽しんでいました。
新しいことに挑戦してみるのはいいことですね・・・。
最初にも書きましたが、清水さんは色々なところでやり方を説明していますし、本も出していらっしゃいます。
もしやってみたいと思いましたら、ぜひ「清水式の筆塗り」挑戦してみてください。それでは。


