水性ホビーカラーは、その名の通り水で薄めたり、筆を洗うことができる模型用塗料です。
臭いもほとんどなく、ラッカー系塗料が苦手な方や、臭いを気にしなくてはいけない方にも、安心して使える塗料となっています。
エアブラシは、初心者の方でも綺麗に塗装が出来るツールなので、水性カラーをエアブラシで使ってみたい、という方も多いと思います。
と、いうことで今回は、水性ホビーカラーをエアブラシで塗るために色々と試してみることにしました。
水性ホビーカラーの溶剤について
基本的に、エアブラシで塗装するためには塗料を薄める必要があります。
水性ホビーカラーには専用の溶剤が発売されており、希釈(塗料を薄めること)と洗浄は、そちらを使用することになります。
「ん? 水性ホビーカラーは水で薄めることができるんじゃないの?」と思った方もいるかしれません。
正直、薄めるだけならギリギリ、水でもイケそうな気がします。
ただ、専用の溶剤は塗料の乾燥を早めてくれる効果があり、それが綺麗に塗装するために一役買ってくれています。
そのため、できれば溶剤を使う方がおススメです。
写真は110mlですが、400mlの大瓶タイプも販売しています。
また、洗浄に関して、溶剤はほぼ必須です。
水性カラーとはいえ、乾燥してしまうと水には溶けません。
水だけでハンドピースを綺麗にし続けるのはかなり難しいので、専用の溶剤を用意しておきましょう。
それと、この溶剤はすこし薬品の様な刺激臭がします。
ラッカーに比べたら全然マシなんですが、まったくの無臭ではないのがちょっと残念ですね。
水性ホビーカラーの希釈はどれくらい? 基本は2倍がおススメ
希釈の仕方ですが、よく2倍に薄める、3倍に薄める、なんて言われたりします。
水性ホビーカラーは2倍希釈が推奨されているんですが、それが実際、どれくらいなのかわかりづらいかもしれません。
2倍希釈というのは例えば、空瓶の目印まで塗料を入れたとします。
そうすると、溶剤は10の目盛りまで入れることになります。
同じ分量で薄めるので、2倍希釈と言いますね。
3倍だとここです。
5の塗料に対して、15まで溶剤を入れます。
ただ、3倍希釈はかなり塗料が薄いです。上手に吹くためには高度なテクニックが必要です。
やってみれば分かると思いますが、薄すぎると塗料が綺麗に乗りません。
基本的には2倍に薄めて、使ってみた感覚で調整していくのがいいと思います。
私の場合ですと、2倍よりもちょっと薄いくらいで希釈することが多いですね。
水性ホビーカラーをエアブラシで塗装をするコツ
薄めた塗料を使って塗装開始です。
塗料を薄める場合は塗料皿を使いますが、紙コップでも代用可能です。
大量に色を使う場合は、空瓶にあらかじめ作っておいた方が楽です。
そして、実際に塗装をしてみますと・・・。
普段、ラッカー系の塗料を使っている方なら、塗料のノリが全然違い、「ん?」と疑問に思うかもしれません。
水性ホビーカラーは、プラスチックの上をはじいてしまう、という感覚があります。
ラッカー系塗料というのは、強い溶剤が少しですがプラスチックを溶かして定着させています。
また、乾燥も非常に速いため、吹いたとたんに綺麗に色が塗れていきます。
水性ホビーカラーはラッカーと比べて乾燥が遅く、プラスチックに定着しないので、「色が乗らないなー」と思って一気に塗り重ねていくと、こんな感じになります。
厚く乗った塗料が乾燥していないため、エアブラシの風で周囲に広がり、色ムラになってしまうのです。
それを防ぐために、最初は薄く塗料を乗せていきます。
下地が透けても問題ありません。うっすらと色を乗せ、乾燥させてから再び同じ色を吹いていきます。
1回目はこれくらい。
2回目だと、このくらいの色が付きます。
3回、4回と重ねると、ご覧のとおりです。綺麗な青になりました。
最初は色が付かずに「だいじょぶかな?」と思うかもしれませんが、乾燥をきちんと見定めてから吹き重ねていくとこのようになります。
また、基本的には厚塗りになってしまうため、ツヤが出るのも特徴ですね。
そのツヤが良いか悪いかは作っている作品によるんですが、もしツヤを消したければ、最後につや消しスプレーなどを吹く必要があります。
問題提議 下地の重要性
水性カラーに限らないのですが、塗装は下地が大事です。
白を下地にコバルトブルーを吹いたものと、グレーのサーフェイサーを下地にコバルトブルーを吹いたものですが、このとおり色がまったく違います。
どちらが良い、悪いという話ではないんですが、下地を統一しておかないと、同じ色を塗っても場所によって全然色が違うという事になってしまいます。
クレオスラッカーにはGXシリーズ。アクリジョンにはベースカラーという隠ぺい力が強くて下地に適した塗料があるんですが、現状、水性ホビーカラーにはそういった塗料がありません。
隠ぺい力というのは色によって差が出るんですが、水性ホビーカラーで塗装をする場合、どうやって下地を作るのか、は考える必要がありそうです。
塗装を失敗してしまったら?
最近、すごく有名になってきましたが、水性ホビーカラーはお風呂用洗剤で簡単に落とすことが出来ます。(写真は洗濯用洗剤ですが)
もし塗装を失敗してしまったり、別の色に塗りたかった・・・! ということがあっても、洗剤を溶かした水にドボンとつけておくと、一日ほどで塗料が落ちて元通りになっています。
こんなに簡単に色を落とせるのは、水性カラーの特徴です。
ちなみに、「なんでお風呂用洗剤で色が落ちるんだろ?」と疑問に思ったんですが、おそらく界面活性剤という成分のせいではないかと思いました。
界面活性剤は、お風呂用洗剤だけでなく、洗剤ならかなりの割合で入っている成分です。
ですので、もしかしたら洗濯用洗剤でも落ちるんじゃないかな? と思い、洗濯用洗剤を溶かした水に、先ほど色を塗った磁石をどぼんと入れてみました。
一日置いてみました。
洗濯用洗剤でも見事に色が落ちています。
お風呂用洗剤よりも成分量は多いので、もしかしたら洗濯用洗剤の方が綺麗に落ちるかもしれません。
よろしければ試してみてください。
水性ホビーカラーを吹いてみて
水性ホビーカラーは2019年にリニューアルされ、性能が一気に底上げされました。
全ての面において、ラッカー系塗料に近い特性になっています。
実際に吹いてみて、メインの塗料にするには工夫が必要かな、と感じましたが、それはまだまだ、自分が水性カラーの特徴を捉えていないからだと思います。
今回は、水性ホビーカラーのみに注目しましたが、模型に使える水性塗料はタミヤアクリルやファレホ、シタデルカラーと他にもたくさんあります。(タミヤアクリルの隣に映っているはファレホという水性塗料です)
特にタミヤアクリルは、水性ホビーカラーと並んで手に入る安い塗料なので、併用することで更に塗装に幅を持たせることが出来ると思うんですよね。
もし、ラッカー系塗料が使えなくなっても、水性塗料で模型を楽しむことは出来そうです。
今度は、水性カラーのみで全塗装の模型を作ってみたいですね。それでは。